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湯浅糸道工業株式会社
通訳では実現しなかった、信頼の構築も
外国籍社員の採用で現実に
・名古屋市天白区
・糸道・機械部品の設計 他
従業員数 70名(本社採用の外国籍社員数 3名) 2018年8月
海外拠点 中国
営業部
薛 常官(セツ ジョウカン)さん
出身国:中国 入社6年目
中部大学大学院工学研究科建設工学専攻卒業
担当業務:中国、日本顧客への営業
Company message:企業のメッセージ
通訳を雇えばコストダウンも可能だが
それ以上のメリットが外国人留学生にある
Foreign Employee:外国籍社員
大手企業にはない、自由度の高い仕事と
ワークライフバランスの良さが入社の決め手
中国では大学を卒業し、一旦は土木系の会社に就職したという薛さん。しかし、もっと世界で活躍できるグローバルな仕事に就きたいと、日本への留学を決意し来日しました。大学では建設工学を専攻していたため、同社の仕事と関連はありませんでしたが「分野は違うが、日本と中国の懸け橋になる仕事がしたいという自分のイメージと一致する」と入社しました。
大手企業への就職を希望する学生が多い中でも薛さんは「大手に就職したいという気持ちはありませんでした。中小企業なら、大手にはない自由度の高さで物事に挑戦することができると考えたからです」と話します。「日本の会社は堅いというイメージが強くありましたが、面接を受け、この会社にはそれを感じなかったところもよかったですね。とくにこの会社はニッチな分野で品質の高い製品をつくっているところに魅力を感じました。また、休日が多く残業が少ないので、生活と仕事がしっかり両立できるのも良いところです。それに、単に通訳をするのではなく、自分の価値をいかしながら働けるのでやりがいを感じます。私たちを受け入れようとする環境づくりも働きやすさにつながっていると思います。
最近、日本で結婚し子どもも生まれたので、日本に家をもつことが夢になりました。
将来はグローバルな技術者として活躍したいですね。愛知県は首都圏と比較して、魅力的な企業が多いのに留学生数もまだ少なく就職に有利だと思います。留学生の方には、このチャンスをぜひいかして欲しいと思います」
糸道というニッチな分野の可能性に着目し、長年にわたり着実に業績を積み重ねてきた湯浅糸道工業株式会社。国外に販路を拡大するため、20年ほど前にはすでに中国に進出。現在では全体の約5割が中国、約1割がアジアなど海外への売り上げだと言います。これほど海外への売り上げが伸びても、同社では数年前まで通訳を介しての取引が行われていました。しかし通訳をはさんだ取引では「相手の望むことを100%理解できないのではないか」という思いが強まり、現地の言葉を話せ営業もできる人材を雇用したいと考えたのが、外国人留学生採用のきっかけです。
「折衝で必要な場面だけ通訳を雇う方がコストダウンできます。しかし、自社が扱う特殊な製品を説明するためには専門的な知識が必要ですし、通訳をはさんだ会話では、本当に相手の本音を引き出せているかわからないのが実情でした。そこで私の出身大学に相談に行き、紹介されたのが薛さんでした」こう話すのは営業部と生産部の部長を兼任する、新美貴士さん。「薛さんには営業以外の部署も経験しながら専門知識を身につけてもらったので、今では技術的な会話も安心して任せることができます。また直接中国語で会話することで、現地の取引先からの信頼も高くなりメリットは大きいと感じています。外国籍社員の方と話していて感じるのは、喜怒哀楽すべてにおいて本気だということ。うれしいときも、イヤなときもあいまいさがない。逆にそれが彼らへの信頼にもつながっています。それに、ハングリー精神があり、セミナーに積極的に参加するなど勉強にも熱意がある。今後もインターンシップなどを積極的に利用しながら我が社に興味をもってもらい、採用を増やしていきたいですね」